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良いピアノの音色の作り方

今はピアノを弾く場所が多様になってきて、例えば、家の中や

コンサートホール、ライヴ会場、こじんまりとした小ホールなどなど、

会場(器)の素材もさまざまです。

一昔前までは、外国人の先生等に、「弾く場所に合わせてタッチを変えなければならない」と教わってきた

方々が、たくさんいらっしゃると思います。



ところが、私のピアノ奏法の「基本的なベースとなる音色」は、「どこで弾こうがタッチを変えなくても

自分自身の音色で鳴ってくれる」という非常に便利なものです。

秘技に近いのですが、その方法とは…ハノン等の準備体操で基本の音色をまずつかむ時に、

「完全に手や腕、指、肩を脱力させること」です。完全に脱力させて弾こうとすると、ハノン等に書いてある

リズムで正確に弾けないところが出てくるので、ムリヤリ、リズムを指に当てはめて弾くのではなく、

「弾ききれなくなる一歩手前で、音を伸ばし、手や指、腕、肩の緊張を取って」「取れたら、次の音(又は音群)に進む」と

いうことです。このスタイルで2,3日練習すると、かなり脱力しながらパッセージを弾けるようになります。

また、1日目からその練習に取り組む時は、全ての指を「ベターっ」と伸ばしながら弾くのです。

その「べたーっ」と伸ばして弾くと、音色のムラが出ずに、かつ、リラックスして弾くことができます。

この状態で2,3日練習すると、だんだん止まらずとも弾くことができるようになってきます。

「止まる場所をどこにするのか?悩まれると思いますが、自分の気持ちの良い場所で止まる」これに尽きます。

したがって、止まる場所というのは、個人個人で異なるものだ…と思っておいた方がいいでしょう。

2,3日経つと、気持ちよく止まる場所も減ってきて、だんだん楽譜のリズム通り弾けるように変化してくるはずです。

さきほど、タイトルの通り、「良いピアノの音色の作り方」で、私のピアノ奏法の「基本的なベースとなる音色は…」と

言いましたが、このような言い方をしたのには理由があります。

本来、ピアノのタッチはその曲中の場面場面において、音色を変えるのが、ピアノのおもしろさです。

「右手と左手」「音群ごとに」、また「歌うように演奏するメロディーさえ表情記号等がついていれば変化させる」のが

普通です。

これは、「基本的なベースとなる音色が決まっていて初めて可能な表現」となります。


私の「良いピアノの音色の作り方」は、オーケストラの音色からヒントを得ております。

「バルビローリ」という名指揮者のシベリウスの交響曲を聴くと、北欧の自然の景色が目に浮かぶように

心に優しく響きます。又は、金管のファンファーレのような鋭いナイフのような切れ味が、

心の奥に突き刺さったりします。このようなオーケストラの名盤を聴くことは、

ピアノの色彩感を豊かにしてくれるでしょう。


落ち着いて、「自分の表現全てをやりとげる」ためには、やはり「基本的なベースとなる音色」を

作れるようにならないと、宙にどこか浮いているような…または精神的に落ち着きを欠いた演奏になりがちだと

思います。

1つの「音楽の表現の手段」として活用する意義は大いにあると思い、

ここに提案させていただきました。



by shinonome-saitoh | 2019-02-25 14:24 | ピアノ 演奏会 発表会関連記事