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ピアニスト、ピアノ教師、プロフィール(大学受験編)。

「受験」って大学でも高校でもそうだと思うんだけど、
課題曲ってもっと柔軟にならないのかなぁ…って思います。
だって、その生徒の「得意」「不得意」とか曲の「好き好き」って絶対ありますよね~。
そりゃ~、学生の時は、不得意もなるべくなくして、ある程度なんでもこなせるように
なることも必要なんだけど、それって、なにも受験に課す必要なくない!?
受験は、「その生徒が一番輝ける曲を演奏してもらう」のが大事なんじゃないかな…。
その生徒の最高のパフォーマンスで判断する…前向きでいい学校の雰囲気だと思うんだけど。
今は、大体、課題曲で選択の余地を与えられていないんですね。
例えば、僕の桐朋学園大学受験の時の課題曲なんかは、こうです。
 
次のエチュードを順番通り、全て暗譜で演奏しなさい。
F.Chopin:12Etudes Op.10-4,7,11,

次の曲を暗譜で1楽章または2,3楽章を受験当日から1週間くらい前に指定するので、全て練習しておくこと。
L.V.Beethoven:Klaviersonata Op.81a 告別ソナタ全楽章

こういう課題の出され方をすると、いろんなキャラクターのものを出されているので、パーフェクトを
求められているのがわかります。技巧も様々なものを取り混ぜている…そんな感じですね。
もしかしたら、僕の受験の時と時代が変わって、課題曲の出され方も変わってきているのでは
ないか、と想像はしていますが、今は「学校」とは無縁なので、わかりません。でも、本質的に、
生徒を学校で育てる為の受験ではなく、生徒を比較して優劣を判断する為の受験であることに
変わりはない様な気がします。
僕だったら、こんな課題曲を出します。

世の中にある「エチュード」と呼ばれる作品の中から3曲選び、演奏しなさい。(曲順は演奏者に任せる)

世の中にある「ソナタ」と呼ばれる作品の中から1曲選び、全楽章練習しなさい。(当日、演奏する際は、
きりのいいところから始めて、約7分間演奏する。演奏修了箇所は自分で決めること。)

こんな感じだったら、「その年の課題曲が自分に合うかどうか」を考えることなく受験できます。

僕の持論は、「音楽は純粋に音楽性で判断され、複数の先生方によって適性があるかどうか、
判断されるもの」であって、決して「技術のレベルの高さの比較によって優劣を決めるものであっては
ならない」と思います。…受験のムードが変われば、受験生のハートだって、より個性的な
パフォーマンスを目指せるようになると思うんですけどね。

楽曲のアナリーゼなどアカデミックな内容は学校で「知識」として教えておけばいいことで、
演奏自体が全てのプレーヤーがアカデミックな演奏になる必要はないと思っています。
「音楽は理屈じゃない、感性だぜ。」っていう考え方も重要ですよ。
「アカデミック」と「感性」をどのように自分で形作るか…これを自分で納得のいく形に生涯かけて
持っていくのが「美的なものに携わる者のたどる道」なのではないでしょうか。

あと、音楽大学においては、「音楽の勉強」と「一般教養」の勉強がありますが、
もう少し、芸術(音楽)に携わる者が「社会に出た時に困らないような、現代社会の成り立ち」風な
授業があってもいいと思います。社会は、今、刻々と変化していて、「自分の人生をどのように
経済活動(収入)と結び付けていくか」を考えるのが難しいです。一方、太古の昔から
変わらない人間の本質のようなところを知っておくことも重要だし。そんな教育、僕は受けてこなかったので、
大学を卒業して社会に放り出された時、大変困りました。「学校さえ、マジメに通っときゃ、
ちゃんと飯が食える:」というのは、ウソだったんだど思い知らされています。

なんだか、受験で「どういう風にして合格したか」を書くつもりが、全く違う内容になってしまいました。
でも、今は、たった今「自分が書いてること」の方が重要度が高いように思われるので、
書き綴っています。

一つ、追伸…努力することはとても尊いことだけど、なんでもやりすぎはダメですね。
程よいところを知ることは、とても重要です。なぜなら、例えば、音楽で「努力する」にしても、
「血が吹き出そうなくらい痛そうな努力」は傍から見ててもそのように(血が出そうなくらい痛そうに)見えます。
はたして、人々は音楽を聴くときに演奏者の痛そうなところを見たい(感じたい)のでしょうか。
僕はそうは思いません。努力できるところは一箇所ではないのです。自分が楽しんでできる努力を
多方面からやって構わないのではないでしょうか(場合によっては一つの努力)。

僕の考えを述べてしまいましたが、何を書いているか「わかる文章」になっているのかどうか…(^^ゞ。
by shinonome-saitoh | 2010-08-23 08:16 | プロフィール