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ピアニスト、ピアノ教師、プロフィール(中学生編)

中学生になって、まず始めに頭を悩ませた問題は、
部活にどこか必ず入部しなければならないことでした。
中学生は、勉強(授業)のスピードも速くなるし、科目も多くなるし、
行事も増えるし、僕の場合は、ピアノを毎日弾かなければならないし、
そのほかに、部活…頭が痛かったです。
4月から、5月か6月くらいまでの期間は、おためし期間で、自由に
どこの部活に見学しに行ってもいいことになっていました。
だから、積極的にあっちこっち行ってみればよかったんだろうけど、
もともと消極的な性格なので、結局吹奏楽部にしか顔を出さず、
そこに落ち着くことになりました。
楽器は2年生の途中までトランペットをやって、それから、アルトサックスに
変更しました。
ピアノの先生は引き続き中村先生でしたが、そろそろ「厳しいことも教えてくれる」
先生を母親と二人三脚で探しました。そうして、見つけたのが、
一柳和男(ひとつやなぎ かずお)先生でした。この先生は、山形大学の特設音楽科を
卒業されてから、西ドイツ(当時、まだドイツは東と西に分かれてました)のフランクフルトの
音楽大学を卒業されていました。山形で留学されて帰ってきたピアニストの先生は
この先生以外見つけることはできなかったし、僕にアドヴァイスくださったことが、
非常に「自分にとって必要なこと」と考えたので、この先生に決めました。
「アドヴァイス」「自分にとって必要なこと」とは…ですが、それは、音楽で生計を立てるのは、
生半可な気持ちではできないこと、経済的にまず非常に大変な事態になってしまうこと、
甘い考えは捨てないと生き残れないこと、自分の人生を決めるにはタイムリミットがもう
きていること、などを教えてもらいました。「タイムリミット」とは、音楽を職業としていく時に、
その時その時にふさわしい教材だったりレヴェルの曲に取り組んでいないと、いわゆる、受験の
課題のレヴェルに達しない事態では、受験で落ちてしまうので、「このくらいの
年齢だったら、このくらいの曲は弾けないとね」というような、だいたいの目安ですが、
その目安に自分が全く達していなかったのです。(恐らく、音楽的にはさておいても、
少なくても、ピアノの技巧的な面の習得が全くといっていいほどできていなかった。)
(実際、速く弾かなければならないような曲は、全く、指がついていかなかったし。当時。)
ということで、大慌てで一柳先生の出す課題に食らいついていきました。
初めに渡された課題がモーツァルトのピアノソナタKV333 B-durだったのですが、僕は、
長調(dur)の曲が嫌いで、しかもモーツァルトもあまり好きじゃなかったんです。
でも、根っからの山形人の僕は、「先生に口答えしてはいけない」という思いがとても強く、
最後の最後まで「この曲が嫌いだから、別の曲にしてほしい。」と先生に言うことができませんでした。
でも、ここで、みなさんに、アドヴァイス。嫌いな曲や取り組みたくない曲を先生に提示されたら、
絶対に「本音を言うべき」です。「本音を言っても、先生に嫌われることはありません。」
むしろ「本音を隠して」「その提示された曲に取り組む方が大問題です。」
なぜなら、自分が好きでもない曲に取り組んで、「うまくなる」なんてありえないし、
もっと繊細な場合、「体の調子や心の調子までおかしくなってしまいます。」
「音楽は心を表現してるもの」です。心をさらけ出す行為なのに、「嫌いな曲」と戦っていたら、
病気になる予兆みたいなものが音に現れてきます。(具体的には、前よりヘタになってくる…、
音が内向的になる…、先生とのコミュニケーションがうまくいかなくなる…、体調がおかしくなる、
精神的に追い込まれる、コンプレックスを持つようになってくる、)…など、悪い影響は挙げたら
きりがありません。好きでない曲に取り組むことは、即刻中止すべきです。

「みんな、このくらいの年齢や、このくらいのレヴェルの人は、この曲をやっているから…」

こんな理由で無理に自分をあわせて、曲と格闘している方はいませんか?

絶対にやめるべきです。はっきりいいます、得られるものは何もありません。

「だって、先生に悪いじゃん。」

そう思う人は、自分で、自分が弾きたい曲を探しましょう。
僕は、YouTubeをおすすめします。
まず、自分が弾きたい曲などがテレビやラジオでかかったら、放送局に電話して、
曲名と作曲者名を教えてもらいます。(けっこう、どの放送局も丁寧、親切に教えてくれますよ。)
その曲を、YouTubeで丸ごと聴いてみます。
そして、気に入ったら、先生に「自分が今、取り組んでもいいか」訊ねます。
GOサインがでれば、すぐその曲を練習して構いませんが、もし、「まだ、ちょっとやるには早いな、」とか
「もう少し、簡単な曲の方がいい、」とか言われた場合は、「じゃあ、また別の曲を探して見ます。」と言って
うちに持って帰ります。そして、またYouTubeで、この曲を検索にかけるのですが、
検索にかけると、似たような曲やあるいは、同じ作曲者で違う曲や、同じ演奏者で違う曲が
右端一覧にズラーッと出てきますから、それで、一つ一つ選んで聴いていきます。
そうすれば、たいてい、「この曲、弾きたーい、(弾いてみたーい)。」って曲にめぐりあえます。

先生とのやり取りを何度もするのが難しい場合は、YouTubeで、先に「自分が弾いてみたい曲一覧」を
作って、先生に持っていくといいかもしれません。先生も、逆に「この人の弾きたい曲って、
自分が弾かせたい曲と全く違ってるなぁ…」とかそんな意外な面を知ることになって、
お互いのレッスンがもっと、以前より親密になるはずです。

話がだいぶ逸れました。結局、僕は1年以上も嫌いなそのモーツァルトのソナタと格闘することに
なります。指がだいぶ動くようになってきた(血の出るような努力で克服…)
ある日、先生に「勉強に専念してみたいから、
ピアノを一旦レッスン止めます。」と宣言してしまいます。でも、元来、勉強嫌いな僕は、
「勉強に専念することなく、」半年過ぎてしまいます。そして、勉強でトップクラスに入れるでもなく、
どうしようもなく、また、一柳先生に「ピアノに戻ります。」と言う事になります。
先生は、指が動かなくなってることをかなり心配されてました。その心配は的中し、
以前のような滑らかな動きになるまで、6,7年要することになります。ですが、そのときは、
「また、すぐ、元に戻るようになる(動くようになる)。」と軽く考えていました。
「本当に動くようになるのだろうか…以前のようななめらかな動きが…」不安と言う爆弾を
抱え込みながら、高校受験、高校生活、大学受験と突き進むことになります。
高校受験が近づき、僕は、山形県立山形北高音楽科を受験することになりました。
当時のピアノの課題は、「自由曲」だったので、一柳先生から以前指導を受けていた、
ベートーヴェンのピアノソナタ第9番E-durの第3楽章を弾きました。(それほど、テクニックを
要する曲でもありませんでしたので、受験に間に合いました。)(これが、第1楽章を選んでいたら
大変なことになったでしょう。受験、落っこちたかもしれません。(笑)。)
とりあえず、高校合格しました。でも、指はあまり動かないまま(元のように滑らかにうごかない)。
この追い込まれた状態で、高校生活を送ることになります。

今だから、「どうしたら指が動くようになるか」「どうしたら、ピアノを休んでもまた元のように
指が動くようになるか」わかるのですが、結論を言えば、まず、「急にしゃかりきに
がりがり、練習を始めない」(リハビリのつもりで緩やかな動きから)。あと、練習時間は
普段の2分の1から3分の1程度から復帰して、徐々に練習時間を増やしていく。
あと、指が動かなくなってしまった「絶望感」を持たない。(また、動くようになる)くらい気軽に
考えとく。あと、僕の必殺座右の銘「急がば回れ」を肝に銘じる。
です。ちなみに、僕のピアノ教室では、指がよく動くようになるカリキュラムだったり、
脱力の為のカリキュラムだったりを豊富に扱ってます。それから、ピアノは精神作業ですので、
「指が動かない」ことへのマイナス思考に陥らない為のメンタルアドヴァイスもたくさんやります。
マイナス思考に陥ると、まず、「指が動くように」なりません。
これは、またいつかお話しましょう。…とにかく、僕は元来、不器用で、指がスムーズに動く人間では
なかったので、人一倍このことに関して苦しんできた分「どうやったら、人は指が動くようになるのか」
を熟知しています。指が廻らない、動かない、弾けない、腱鞘炎になる、指がとどかない、
などいろんな悩みをお持ちの方は、是非、うちに「試しに1回だけでも」と言う感じで
レッスンにいらしてください。
ここで、書けないのは、一人ひとり原因が違うから、活字で表せないんです。
ピアノのレッスンが活字上で全てできないのと同じです。
なにせ、「音楽は音が出るもの」であり「心を表すもの」であるので、実際の人間と音楽を
目にし、耳にしないことには、正確な判断はできません。

では、(高校生編)に続きます。
by shinonome-saitoh | 2010-07-25 09:22 | プロフィール